開催日
2006/07/8

2006/08/12

2006/09/09

2006/10/14 2006/11/11 2006/12/09


石田郁子
(木の花)
 

早ければ年内
と、思っていた
義父母の引っ越し
とんとん拍子に決まり
感謝 そして畏れ

 

 

 

 

井戸田保子
         

遠距離の
介護の疲れ
車窓に写る
私の顔
母の顔   同点二席

一本、一本、
置く枕木が
私の行く先を
決める
レールとなる

額縁を窓に変えて
君のもとへ
送り込もう
広い広い
外界の風  

線路わき
走りすぎる電車に手を振る
幼子を抱きながら
緩やかな時に
包まれている

戦争を生き抜いた
語り部が
見せてくれた命
涙を拭いては
いけない気がした

ショーウィンドウのガラスでも
鏡でもなく
君の瞳を見た時
確かに感じた
私はここにいる

 

河西 恵
   

休日の午後
差し込む陽射しに
日向水のように暖くなる
3LDK
掬い取れるくらいのしあわせ

 

 

 


  門田りよ子
       

亡母に対して
反面教師として
向き合ってきた
今は大差ない自分と
向き合っている

 



菊江 寛
(高望正夢)

もうすぐ雨
ヤマボウシの
手招きに
安達太良の高原を
重い雲が匍う

せみは
武具を脱ぎ捨て
地上は
争う場ではないと
叫び続けている  二席

夏日に揺れる浅みどり
薄雪草の
君がいた
ホテル弐番館から
やり直そうか  同点一席

記憶が
黄ばんできて
気付くこともある
今だけを
生きていると  二席

秋の光が
まぶたの内側で
じゃれあう
露天風呂の
緩やかなひと時  二席

娘が手荒く
乗りまわした
三段変速自転車
我が愛車となって
名もマーバラス号



草壁焔太
         

君といる時間は
凪いだ海のよう
君のラインにそって
やわらかに
波うつ

倉田モコ

指が奏でる
祭の音
神社の庭で
猫も足を止め
振りかえる

雨の

知りたくて
花に
なりたくて

虫の声
風のにおい
途切れない会話は
クロスの無い恋
秋だね   同点一席 

髪も髭も整えて
地元のお土産手に
ご挨拶に行く
緊張の君の背に
爽やかな午後の風  一席

干すお布団に
リズムよく
薔薇の影ゆれる
のどかな立冬
洗たく日和

色鮮やかに
輝く君は
幸せの銀杏の木
巣立つ嬉しさ
寂しくもあり

旧暦の
季節行事は
旧暦で
新暦では味わえない
実感が生まれる

いまはただ
聞こえることに感心
話せることに感謝
見えることに感激
生きていることに感動

表の顔と裏の顔
外面と内面
面従腹背
顔で笑って心で泣いて
・・・・だから顔は嘘つき

言葉の宇宙では
重力は感じないが
磁場はあるようだ
漂いながらも
どこかに引き込まれていく

「せんたくし」
と入力したら
「選択死」と
変換される日が
やがて来る

「緩和ケア」
といったって
絶え間ない吐き気と
死への恐怖感だけは
取り除けないのだ

斎藤龍矢
         

住宅街
競って輝く
イルミネーション
けど今日は
お月さんが勝ち

さかい学
         

『クッセーナー!』
我娘(わがこ)に言われ
ムッ……
他人には言うなよ
『言われてるんだ』

島田典征
         

軒に乾く
柿を狙い
一匹の猿が
屋根に現れた
ひもじんだろうな



芹川廣信
     

君の病院通い
老いの仕事か
笑っていたが
今、自分が、また
病院への道をいそぐ

 

 

喬城奈緒海
(たかなお)
 

天女の
手招きと
見まがうような
漆黒の空に舞う
色の洪水

 

 

 

 

田村明義

タンポポの種
お婆ちゃん
どこへ行くの?
くるくると
天国かもなぁ

 

 

 

 

 

なまいきなこ

時の川に
流される
自分
行き先めざし
楽しみ探す

微笑が
こだまし
周りに
伝染する
笑顔

卒業アルバムは
学生時代の全て
今の自分は
歩んできた結果
そのもの

いつも
便秘の
歌作り
りきむ
ふんばる

人の目を
気にする
本当は
自分が
思っているだけ  三席

飽食し
メタボリック症候群
運動に
励む
現代人

掘さと子
         

見えないものに
がんじがらめだった半年
糸が
緩やかに解れていく
気が漲る

前川みち子
         

私は天才かと
思うほど
美事に変えてしまった
部屋の中
空気の味

松本 佳代

ジャンクの帆をあげ
太湖のさざ波をきる
このひととき
逃がしてなるものか
舳先に立つ     同点一席

母さんに
見せてやりたかったよ
「タスマニヤ」の
星が降る話
耳に声がはずむ

一輪だけど
濃いこい紫
から松が落とす
蒼い風花に
ゆれるあざみ

蓼科山は
見える日は少いよ
入道雲は戯れ隠し
人を惹きつけ
せせら笑う

南病棟で
九十才の叔母は
無心でアイスクリームを
食べていた
ただただ神様に感謝

娘の手をとり
バージンロードを歩いたと
語る友は
笑いながら
眼をふせた  一席

宮島富美
         

「おぶいヒモを持ってきな」
孫を前にした母
その意味が十年眠っていた
東京大空襲の時
私を守ってくれた母の心意気

悠木すみれ

身体ごと苞(つと)にして
風を入れる
さぁ
夏風よ
つき抜けてゆけ   同点一席

生活費に と
油に汚れた手で
息子が差し出す
泣きたくなるよな
三万円    一席

息子が
女の子の話をする時は
目をそらして
すこ〜し
口が歪む  三席

風に
洗われて
隠し事
ひとつない
秋の空   同点三席

とうに
古本屋にやった
あの本の
あの一行が
読みたくてたまらない  一席

北風に
しゃぶり尽くされて
花みずき
大地に刺さる

       

暦では今日立冬
テレビのニュースは
お台場あたりのイルミネーション
もうクリスマスの話題
紅葉の噂はどこへ行ったの?

サーフィンで遊ぶ
若者のように
人生の荒波も
楽しみながら
進みたい

吉野尊子
         

草むらから林へ
ととととと
こじゅけいが走る
やったネ
今日は、いい日だ

吉野比抄子
         

わたしは
統合失調症―
自分の心を
自分で裁いたのだ
この病によって

吉村恒雄

時をかける少女
日本沈没
あふれるリメーク
オリジナルは
苦戦か…枯渇か

レモンティーの好きだった
妻偲び
花かげに
レモン置き
香り絶やさず  三席

戸惑う我に
事故 停車 三十分
携帯電話画面
見せて教えてくれた
天使の様な女高生

うららかな秋の草原に
群れ飛ぶとんぼ
高く低く
交差して
光の曲を奏でる  同点三席

右 左
一画目は縦か横か
そこが厄介
小一問題に悩む
脳力活性化ドリル

冠雪した富士
色づく欅
変わらぬ秋が来た
今年は
今年の感慨抱く

 
↓ いままでの月例会で合評された作品集
2006年1月〜6月の月例会の作品
2005年7月〜12月の月例会の作品
2005年1月〜6月の月例会の作品