開催日
2006/01/14 2006/02/11 2006/03/11
2006/04/08
2006/05/13 2006/06/10


石田郁子
(木の花)
   
頬が受けとめた
やわらかく
あたたかい春の陽
心にとどき
やさしさとなる
春らんまんの
飯能河原
あなたが創られたものは
すべて
天然の美

 

宇田川明信
     
自然支配は
破綻するまで
やめられないから
続けるために
エコロジー
かおる
     
ミモザの
黄色い
回数券
花の数だけ
キスしてあげる
また一人
自分の中に
鬼を見つけて
許せることも
また一つ
掌で包み込んだ
青い鳥から
また1本指を離す
息子の視線が
私を超えた日
囲炉裏端で聞く
昔がたり
柱時計の振り子の音が
世代を越えて
心を束ねていく  同点3席

羽があるのに
今は
道なりに行く
蝶と一緒に
角を曲がる

「立入禁止」の
庇護のもと
そよそよ揺れる
一群れの花の



菊江 寛
(高望正夢)
希望をくれた
自筆の
言葉
賀状の人に
初電話をかける  同点二席
母さんのカレーは
たっぷりだったぞ
専門店の
スプーンと皿に
言いきかせる  同点二席
夜更けの電車は
笑いを
使いはたした
漬物を運ぶ
桶みたい
花の下
ベビーカーも
輪に入れて
若いママたちの
はしゃぐ声

つい自分の
ことばかり
お喋りしてしまう
一人の生活が
長くなって

苦悩と
無常の
人類史の中に
よくぞ笑いを
忘れなかったものだ  二席

倉田モコ
薄紅色の
振袖デビュー
弾む愛らしさ添え
立ち振る舞いは
淑女が似合う
紅の赤
ハートのピンク
恋する想いも
チョコに混ぜ
届いてね君に
着信の
メロディー
春を呼ぶ
繋がる
愛しい思い
花びらの
舞い降りる先
桜色
踏む心に
ためらって  三席

夢と幸せ
沢山詰めて
スクスクと
緑の風浴び
元気に泳げ

恋愛モードの
スイッチは
いつまでも
削除できない
トキメキの歌   同点三席



小林美智代
羊が一匹
羊が二匹
臥所の中で
夜明けを待つ
朝の光が届く迄
雪の朝
お香をたいて
CDをきく
逝った人の
思いをさぐりながら 同点二席
一輪また一輪と
ほころびる梅
うめ明りのもとで
来る筈もない
あの人を待つ
いたわられながら
桜を見て歩く
花のみごととさと共に
仲間の心が
染みる



小久保かね子
(自画像)
一寸先見えぬ降雪
鋭利なツララの先
テレビの映像
故郷の雪おろし
老いのもどかしさ
 
死ぬも良し
生きるも良し
開花を待ちながら
日向ぼっこで
余命愛おしむ

この世では
会えないと
諦めた曾孫
スプーンの口元は
十ヶ月

人気番組が
人気タレントを生み出すが
人気タレントが
人気番組を生み出す
わけじゃない
自作の五行歌を
百首に絞り
百枚のカードにして
百人に選んでもらう
私の「百人一首」
それぞれの思い出や
様式の違いで
見知らぬ人でも
話が弾む
街角の雛飾り
清流と里山を巡るエコツー散歩
どこでもできる
いつでもできる
それが飯能
それこそが飯能

いつまで生きられるのか?
私にはやりたいことが有る
私にしかできないことが有る
急がなければならない
妥協してはならない

黄泉の国まで
持たせてやりたい
携帯電話
向こうの様子を
聞かせて欲しい   同点三席



こはる
     
まっ赤な炎に
いかり顔の
青不動が
ぐさりと
心射る
関根昇一
     
都心より所沢
所沢より飯能
格差を
実感する
豊かな自然


芹川廣信
 
 
一昨年は交通事故で入院
昨年は内臓で入院
九十一歳
つたない絵てがみに
旧友の返事
喬城奈緒海
(たかなお)
不治の病に侵された
心と躯を
黒く塗りつぶして
懐かしい顔に
逢いに行く     同点二席
 
助手席で
コンパクトを開く
信号待ち
あっ 運転中だね
ごめんなさい
田村明義
 
子供靴
大人靴
道は違えど
足跡を
俺はそばにいるよ
久しぶり
オヤジの料理
大皿に
おいしいわねと
妻にやり

いにしえの
土の温もり
今、感じ
河川敷の
一本道



妹よ
鬱に…
負けるのか?

なまいきなこ
おみくじは
「凶」
大当たり!
戒めとし
冷蔵庫に貼る  一席
蹴られた椅子
「痛い、嫌だ」と
叫んでる
そう思うと
優しくなれる
野球で起こった
一発逆転劇
人生だって
ありえる
その一打   同点一席
葉の緑
花の香り
感じるいのち
心も
芽吹く

ねむい、眠い
まだ寝ていたい
でも
永遠には
まだ嫌だ   一席

生きることは
死への
接近
燃える日々は
生きる証し   一席

新妻タカ子      
荒川の流れに
一瞬
夕映えの輝き
旅の終わりの
すばらしい出会い


福井昭子
     
西の川から
江戸まで運んだ
ヒノキの香り
残れ残れと
この街の手で


福島重男
 
二回三回試食して
今度は子連れの
バイキング
いらっしゃいませ
グット感情呑み込んで
霜どけ土の
ふんわり布団に
包まれて
春の歌を奏でる
犬ふぐりの花

すれ違う
一秒一会の
喜怒劇場
塀によりつく
老いの自転車

藤 愛子
     
花吹雪
花見の宴
ノビルをかじる
自転車男
平和な日本春爛漫
松本佳世
やっと一人の
七草は
ふつふつと
ふろふき大根が
透きとおる    同点二席
真白な新雪
思いきって一歩ふむ
残った足跡は
沈黙を破ったような
寂しさ
水槽に浮く
大きなお豆腐を
ふんわりすくい切り分ける
あの店も
又一つ消えた   同点一席
老々介護の
話から
少しぎこちなくなっちゃった
二人とも
そんな年なんだ

裾野まで真白の
輝く富士山
じっと見ているだけで
黙した胸が
熱くなる

水野祀子
     
歩くだけでは
物足りない
住みつきたい
飯能の
山懐
悠木すみれ
その
瞳の中が
わたしの棲
帰ってゆくように
あなたと向き合う  同点二席
手押し車の
おばあさん
屈めた腰で
冬陽を拾いながらの
散歩         一席
桜樹を包む
薄紅の朧
枝先に灯る
花芽の
美を知り得るのは
人だけだろうか
満開の桜を
犬が
見あげている   二席

角刈りに
剪定された
歩道の紅つつじ
ハンサムにされて
ちょっと気の毒

攻めも
欲も
知らない
子鹿の眼に
射貫かれる
吉川敬子
     
白い河原に
花吹雪ちらし
蛇行する
二筋の川は
春の友禅   一席
吉野比抄子
   
少女の
わたしが
話かけてくるよう
アコーディオンを
聴くとき
 
吉村恒雄
海沿いの
斜面に揺れる
野水仙
幸せを呼ぶ
黄色いハンカチ
笑顔でいても
悔やんでいても
ひと日は一日
心和まし
明るく生きる
足早に
過ぎゆく生徒
寒風に
乗せて響かす
変声期の声

人間の人生は
その瞬間で終わらない
家族の心の中で
問わず語らず
不滅に生き続ける



れっどようこ
予感はあった
まさか
現実になろうとは
落ち葉を踏み
ハミングは行く
ワセリンを
塗り込んでいるうちに
肘は
考える人に
変り始める
見えない
静脈を
感じさせる
マネキンの
脛のふくらみ

水掻きの用を
もはやしていないことに
気付いた家鴨
つぶりかけた目に
映ったのは白鳥の飛翔

 
↓ いままでの月例会で合評された作品集
2005年7月〜12月の月例会の作品
2005年1月〜6月の月例会の作品