2004/9/26 2004/10/23
2004/11/27
2004/12/25


石田郁子
郊外の大学が
車の先に
デンと聳える
土地の人の気持ちになって
誇りに思う
生と死の間に横たわる
一線は
近くて遠い
無限の隔たり
先生、さようなら
大志という言葉が
生きていた
明治の代
大志を抱いて
東京に出てきた祖父がいた

私の好きと
波長があったのは
イエロー・へアーの
大姉御が熱唱する
よき時代の歌

ちりちり燃える
胸底の思い
彼岸の花に
うつして
帰る     同点一席
巣立ち始めた
子どもらの
手の感触を
たぐるように
おむすびを握っている  同点三席
ひとかけらの
愛おしさを
懐かしさにまぜて
自分に歌う
「赤とんぼ」  同点3席

純粋な悪人と
まっすぐな勧善懲悪
「水戸黄門」に
しばしの
休憩


  門田りよ子
   
道すがら
垣根の奥の
冬支度
人の心も
刈り込む術を持ちたい


こはる
     

いいねェ 天国でしょ
が 私の口癖らしい
失業中の
夫への
エール



菊江 寛
産後の娘に
持って行こう
レバーに
もやしとピーマン
かるく炒めて  二席
朝一番に
礼状を出して
込み入った仕事も
気持ちよく
取り掛かる  一席
余生などと
いのちに失礼な
終身
現役だ
青春なんだ

早仕舞いの
夕陽が
人の影を伸ばす
もっともっと
大きくなりなよと  一席



草壁焔太
   
何を洗うともなく
夕べの
水平の陽差しを
撫でる
島の海


小林美智代
お誕生日の朝
とび切り上等の
お茶をいれ
喜びも切なさも
合わせて飲む  同点三席
もっていき場のない
今の気持ち
母の言葉を
思い出し
終日床をみがく

こうのとりさん
やっと私の家を
みつけてくれたのね
小さないのちが
届きました

小久保かね子
 
列島を駆け抜ける台風
三十余年前の我が家
蕩々と床下を濁流が
河川の決壊
いまはテレビで現状を悼むのみ
吾を探して
銀杏並木を行く
黄葉舞い散り
足にまつわる
冬の気配
幸福な結婚もあれば
不幸な結婚もある
起業も同じこと
 だから起業する人
 だから起業しない人
「好きだから」
「これしかないから」
手探りをしながらも
迷わずに
この道を歩いて来た  同点三席
国会の二院制を活かすなら
男性院と女性院
地域院と世代院
内政院と外交院
試験選抜院と公募抽選院

人生も同じだろうか
質の高い映画は
二度目に観ると
さらに
味わいが深くなる



芹川廣信
白が
白く見える
RGBの基調に
よみがえった
術後の眼
おっくうがらず
やること延ばさず
ふりかえらず
ポスター感覚になったか
壁の自訓


なまい きなこ
残酷シーン
衝撃!
戦争映画
現実だったら
こんなもんじゃないぞ!!
何があっても
大丈夫
細かな事は
気にしない
図太く生きる
寝たきりの母
夢をみて
声高に笑う
心は
自由な世界へ  同点1席

頭の隅にある
心に重い
失敗
忘れる力が
ありがたい



福島重男
山盛りあった
山 谷 汗の
思い出を
墓石に刻む
大夢の大文字
細い川が
一緒になって四十年
ふと
口ずさむ
川の流れのように

 前川みち子
   
なんでもないよと
医者の言葉
スーッとひく
病の重さ
自分で作っていた 同点1席


悠木すみれ
しっかり
愛されて育ったのだろう
義母を見る
夫の眼の
やわらかさ  同点一席

削がれて残る
芯は

果実も私も
そこから芽吹くのだ 二席

その
果ての在り処を
知っているからか
愛しさは
哀しさへと繋がってゆく

病んで知る
臓器のように
災害で知る
山間(やまあい)の
鄙の名ひとつ  二席  

吉川敬子
   
小学生の息子に
褒められて
女親の紙飛行機は
甘やかに
高く飛ぶ   同点3席
吉野比抄子
ちちんぷいぷい
呪文を唱え
きみの
肌を撫でる
風になる
尾根を這い
波を乗り切り
人の
旅路の上に
文化は生まれる
吉村恒雄
 
喜びに
悲しみに
人形に
忙しい
菊の花  同点三席
新潟地震
伝言放送
想いだす
「君の名は」
尋ね人の時間

ネルロとパトラッシュ
「フランダースの犬」
涙を溜めて
読みし児も
今は母親



れっどようこ
賞め
殺し
あの男の
酒癖かもね
旅行の先の
五行歌の
達者は
そうとう素直
曲った古釘が
つぶやいた

夢の中で
あなたを抱いた
力を込めて
うつ伏せになっていた
腕がしびれる



和田 今日子
湯上りに
肩にこうやく
脚のマッサージ
健康で
長寿とはむづかしい
列島縦断23号!
核 イラクと
騒騒しいが
誰か台風発生防止を
研究してくれないか
 
↓ いままでの月例会で合評された作品集