飯能五行歌会2003年12月〜2004年3月の作品    飯能五行歌会TOPへ戻る    
2003/12/27
2004/01/24
2004/02/28
2004/03/27


石田郁子
戦争日記の
あちこちに
散りばめられた
恋人の名前
若い将兵のほんとう  一席

凍える寒さを
座葉 ( ロゼット ) となって
やり過ごす野の草
段ボールの家で震える
ホームレス

威張って見える
腕組みの
隠れた指で
肉塊を摘む
私の癖

不幸に泣いても
どうにもならない
血脈
ならば
前を向くしかない

大野陽子
ババの私を
そっとやさしく
抱きしめてくれた
夢の中の
その男性を知りたい 二席





川口晴絵
速達で送る
クリスマスカード
少年院へ届け
二十余枚の
愛のメール

身も
心も
新しくなれる
気がする
初雪   三席

2年振りに
顔を出した
シクラメン
二人住まいに
芳香 漂う




菊江 寛

助手席の
花梨の実に
おおらかさを貰い
師走の街に
ハンドルを握る


新ジャガを
ゆでながら
腐りかけを食べた
アンネ・フランクの
屋根裏を思う   一席(同点)

休息の
何て優しい
時間であることか
君のさしのべる
柔らかな指のように



草壁焔太



傷ついた者のように
花を待つ
そこから
きっと
何かが変わる



小久保 達

HP個人五行歌集
『五行の字感』
何気ない
会話の中に
自分への
好意を探る
恋の初期段階  三席

ほのかな恋から
秘めた恋
そして
忍ぶ恋への
・・危ない期待  三席

「石の上にも三年」
  と言われるけど
「十年かもしれないなぁ・・・」
  自分に言い聞かせ
  自分に納得している

心の中は
言葉でしか
見えない
だから
五行歌ができる



小林美智代

娘が幼稚園のとき
買った
えんぴつけずり
今五行歌で
再登場

 

 


木々が葉をおとし
何もまとわずに
黙って立つ
弁解の多い
自分を思う   三席

桜井匠馬



「日本人、スキデス」
青い瞳を見なかった
私は目を伏せてしまった
私は日本人、いや
違うのだな



芹川廣信
転んだら
終わりだよ、と
自分に言い聞かせ
スパイクの付いた
雪ぐつを買う

青信号
クラクション
鳴らさず
ジッ -と待つ
今の世相




なまい きなこ
このごろ増えた
喪中はがき
親が旅経つ
お互い
そんな歳なんだ

自信と不安の
受験生
「大丈夫!」の言葉が
実力と勇気を
湧きおこす

緊張した顔
きらめく瞳
いつもと違う
中学生の
職場体験

歌創り
共感されるか
気にしつつ
最終的には
自己満足

百楽天



春の花のようだ
歌うように
語っている
君の



福島重男
網の向うの子等の声
一歩超えれば
逮捕劇
校門の錠が
まるで国境のよう

恋人を送り
今は孫がイラクへ
皺の谷間に溜って
流れない涙の
味が解るかい



 前川みち子



昔のカセットを
何度も
巻き戻して
再生しているような
母の話し      一席



森本いくこ



ありがとう
ごめんなさい を
言える人に
嘘をつかない人に
なれているだろうか



悠木すみれ
大好きな
花の種を
蒔くような思いで
友に
五行歌を勧める  三席 

半紙から
はみ出しそう
子の書初めの
大きな文字に
どこか安心している   三席

やるべき事を
頭の中で
あっちとこっちに
振り分けて
取りあえず昼寝 一席(同点)

母と交わした
小さな約束
果たせぬままに
ゆるゆると過ぎる
里帰り      二席

吉村恒雄


心を配る人は
気づかいしない人が
増えたから
心優しい
暖かい人

赤鬼と
青鬼は
伝説の鬼
鬼より怖い
鬼畜の様な親 一席(同点)

騙され
苦しみ
悔やみつつ
騙した人の
いくすえ気ずかう

吉野比抄子



きみの想い出を
綴ったメモは
もうぼろぼろ
だけど
永久保存版



れっどようこ

すぐ
癒されるからね
憂いをおおって
土手のたんぽぽの
綿毛がささやく

冬眠が覚めたら
一番に
プロポーズしよう
伸びた日脚が覗いた
蛙の日記     一席

うちまた気味に
脱がれた草履
一瞬母が顕つ
遺伝子の不思議
こんな所に

ルーペで一画づつ
写し取った字
見た目のごつさを
はるかに超えて
書き容い「鬱」



和田 今日子

三ヶ月前から
硯、筆、紙、手本
みんな揃っている
でも書かない
三日坊主にならないために  二席

 

東京大空襲
深夜の空が真赤になった
下町の被害を語る
私の記憶
少しづつ風化している