飯能五行歌会2003年8月〜11月の作品    飯能五行歌会HOMEへ     
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2003/08/24
2003/09/27
2003/10/25
2003/11/22


石田郁子
見えない
神の
ご計画か
君の最期の友に
選ばれた幸せ
      三席
閉じこめられていたものが
ほとばしり出る時がある
夏の三ヶ月
砂漠に出現する
雪解けの大河 ホータン
豊穣な黄金の海原に
息を呑んだ
会津への旅だったが
今年は
農民の涙が見える
緑から
黄、赤へのグラデーション
山葡萄の葉が
古アパートの塀で
燃える


井関貞子
     
雀に欲しいだけ
食べていいよと
約束していたのに
今年の柿は
一と休み
大野陽子
 
中東の
和平の道は
再び遠くなり
殉教と云う名の
テロが今も続く
大いなる知恵の都とうたわれて
繁栄を誇ったバグダット
アラビアン・ナイトを思い出す
でも今は戦いの地に
平和の祈りは空しく
制約がない
でも奥が深い
しばしば
解釈を誤る私
五行歌の妙
おがわまり
   
凛と薫る
香木(こうぼく)に
こころの背筋
ピンと
伸ばす



右麻痺しても
指一本で
活字を拾う
一日かかったろう
孫への便り
     二席
        
先人が
魚を包んだという
朴の葉
風に はためき
古の里が見える
 
私が笑えば笑い
泣けば泣く
解っていたんだね
深い瞳の
もの言えぬ母


門田りよ子
 
先人の
辛苦を思い 深く
湯につかる
私にやさしい
ここは法師の湯


川口晴絵
まなざし 優しく
ほほえみ 耐やさず
受け応え上手に
なれるだろうか
年増(としま)嫁

      
還暦を
ステキに生きる
女との出会い
心の豊かさもらって
記者冥利
一本の めしべを
とりまく おしべ達
化身するなら
まっ赤な
曼珠沙華
冬生まれ
もがり笛の音に
どきどきする程

ときめいて




川島澄子
 
 
心もからだも
まるごと

一生ものの
おつきあい


菊江 寛
皮をとって買う
とうもろこし
透ける
肌じゅばんは
一枚残して
     
かあさんが
好きと言っていた
紫苑の花
急に私も
好きになる
競輪場帰りの
満員バス
選手の悪態を
口ぐちに
駅に着くまで

焼きあがるパンの
匂いに充ちる
駅のホーム
快速まで
待つとしよう


草壁焔太
     
襤褸のなかで
研ぎ澄ます
悪さえも
許す
ほお笑みのようなもの


小久保 達

HP個人五行歌集
『五行の語感』
漬け物は
食べたい人が
漬けること
オヤジの残した
唯一の教訓


五行歌は
頭のトレーニング
でもあり
心のマッサージ
でもあるんだね
地域の運動会は
「田舎の証拠」
そう言われても
あるのは嬉しい
いつまでも続いて欲しい
良かったね
それで良かったんだよ
そう思えるときが
必ず来るから
良かったね


小林美智代
痴呆の進む夫に
ときに阿修羅の如く
なる自分に
恥じると
友からの手紙 

ガン細胞がなかったと
告げられた日
道ゆく人にも
笑いかけたくなるような
今日のわたし     一席

きんもくせいの
香りにさそわれて
知らない道に
迷いこむ
こんな日があってもいい   三席

出来なくなったことを
なげくより
まだ出来ることを
数えよう
空の青さの中で  一席



芹川廣信
ひぐらしが
哀愁のハ-モニ-を
また、届けてくれる
森の前の
小さな家へ

川のような空間
早く来いと
亡き身内が
手招きをする
病の夢路
人の波をかきわけ
川越まつり
今は
座席券を買って
すわって見てる
年賀の厚みが
薄くなったね
あの友、この友
いつしか疎遠
肩書きを外した、今


中込加代子
     
キリストに倣い
心を修める
世にある限り
結ぶ手に
二心はない


なまい きなこ
念願の富士登山
心は燃えつつ
足はガタガタ
苦しいほど増す
登頂の達成感
台風にも
大雨にも
耐えている
巣を守る
蜘蛛の生きざま
あいつぐ
農作物どろぼう
心の優しさが
消えたのか
田舎なのに・・・
この手でやった米づくり
脱穀までの苦労を
初めて知る
育てる苦楽は
人づくりも同じ


福島重男
逝って五ヶ月
孫の迎火に
傘を差し出す
娘の背中に
どしゃぶりの雨
    一席
碧空に舞う
葉風の芸術
コスモス畑に
寝ころんで
大パノラマの独り占め
喧嘩して口をきかない
こともあったっけ
庭に咲いた
我が家の匂い
そっと手向ける


前川みち子
 
 
結び目が
沢山ある
赤い糸
時々からまるが
切れることはなくなった


森本いくこ
思いと
言葉とふるまいの
矛盾
呑みこめず
心がきしんだまま  一席


悠木すみれ
母という枷(かせ)
妻という枷
外せばきっと
独り
広野に佇(たたず)むよう
      二席
線路沿いの
土手は
花魁道中の
艶っぽさ
曼珠沙華の群れ 三席
君の
やわらかな唇を
待っているような
季節の名
Fu・Yu   二席 
慎みの黒を
裏切るように
息づく
喪服の爪先の
赤いペデュキア  三席 


吉野比抄子
   
気になるけど
聴かれたっていいよ
こころで思ったこと
声にしなかっただけ
言葉と同じだもの
「優しい声だから」と
母を
覚えていてくれた
昔馴染みの
おいなり屋さん


れっどようこ
痛いか
目で問う医師に
やさしく入っています
当ててくれた止血綿に
かよう指の彈力

全身を
門柱にあずけて
明日咲かせる蕾を
かばっている
嵐の中のあさがおの葉  一席
あわや
とっさに伸ばした手が
重湯のこぼれを防いだ
ねぎみそとたっぷりのおかか
秋 まっさかり
父は笑って窘めた
チャコちゃん
それは夢想だよ
遠くに声を聞きながら
わたしのおもいは今も続く


和田 今日子
総出で見つけた
火の星
燦と輝く
結婚五十年など
細石のよう
賞でられるようになった
死人花
散ることもなく
しろじろと
呆けている
お線香二本は
南無妙法蓮華経
一本は南無阿弥陀佛
日蓮さん
許して下さいね